久米島の海洋深層水
昨日の記事では触れられなかった、久米島の話をしましょう。
昨日の記事が気になる方は、こちらをご覧下さい。
番組の中では、久米島が海洋深層水をクルマエビや海ブドウの養殖に活用しているという話をしていました。
海洋深層水というのは、水深200mより深い海を流れている海水のことで、水温が低く、ミネラル分が多い(つまりしょっぱい)というのが、特徴となっています。
久米島は南に位置しているので、海水温は高くなるのですが、クルマエビが卵を産むときや海ブドウの養殖には温度が上がりすぎるとよくないので、水温の低い海洋深層水を活用することでクルマエビが卵を産むようになり、質のいい海ブドウができるようになったといいます。
番組では紹介されていませんでしたが、その他にも冷たい深層水を活用することで、夏場の久米島でも熱に弱いほうれん草を栽培できるようになったそうです。
ここまで書いただけでも、海洋深層水はいいことずくめのようですが、何せ深海から汲み出さないといけないので、活用できる場所は限られています。
久米島は陸地の近くでも、すぐに水深1000mと深くなっているので、海洋深層水を汲み出しやすい地形になっているそうです。
島の中にはいろいろな場所に海洋深層水が供給されているので、それを使ったビジネスが進んでいるということです。
その中でも、私が注目しているのが、海洋温度差発電です。
海洋温度差発電というのは、深層水と表層の海水を両方汲み上げ、その温度差を利用して発電していくというものです。
海洋温度差発電なので、表層の水温と深層の水温の温度差が年間を通して20℃ほど開いている場所がいいわけです。
久米島はその条件を満たしていることもあって、世界初の海洋温度差発電の実証実験プラントが建てられ、2年近く稼働しています。
現在は実証試験なので、出力50kW規模の発電機2台で発電をしていますが、近い将来1000kWクラスの発電設備をつくり、商業発電に向けて駒を進めていく計画になっています。
海洋温度差発電はどこでもできるわけではないので、それほど広がらないかもしれませんが、実用に近い位置にいる地産地消型の新しい電源として 注目できるものです。
この海洋温度差発電については、以前、大阪ガスのエネルギー・文化研究所で発光している情報誌CELで書かせてもらったことがあります。
このときは、「海洋資源から見える未来の日本」というタイトルで、海洋鉱物資源や海洋発電などについて書いています。
記事はWEBでも公開しているので、よかったら読んでみてください。
(写真は昨日に引き続いて、種子島のものです。
久米島にはまだ行ったことはありませんが、いつか行ってみたいですね)