キューティーハニーは、なぜいちいち服を脱ぐのか?
その昔、別冊宝島の「科学・謎? なぜ? 読本」という本に、「キューティーハニーは、なぜいちいち服を脱ぐのか?」という短い記事を書いたことがある。
作者がエッチだからとか、その方が男の子の食いつきがいいから、といってしまえばそれまでだが、一応、科学ライターとしてまじめに考えてみたのだ。
といっても、アニメやマンガの設定の細かいところを考察して、科学的に合っていないとか、あら探しのようなことはしていない。
そういうことをするのは、アニメやマンガに対して失礼だと思うから。
あくまでもアニメの設定などを現代の科学で置き換えるとしたらどういうことがいえるかなという視点で記事をまとめてみたのだ。
キューティーハニーの設定では、ハニーが自在に変身するのは空中元素固定装置というものが働いているからだった。
この装置によって空気中の元素を取りこんで、服などに変換してしまうというのだ。
実は、この設定はあながち荒唐無稽なことではない。
これは一時期、盛んに研究されていた炭素固定化技術とよく似ている。
炭素固定化というのは聞き慣れない人もいるかもしれないが、簡単にいうと空気中の二酸化炭素をメタノールなどの有機物に変えて空気中から取り除こうというものだ。
この技術がうまくいけば、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素を減らすことができるのではないかと期待されていた。
残念ながら、現在、この技術はまだ華々しい成果をあげたという話は聞こえてこない。
同じような方向性のアプローチとして、植物の光合成の機構を研究して、人工光合成によって二酸化炭素と水から有機物をつくろうという研究も進められている。
つくられるものは、蟻酸、メタン、一酸化炭素でなどで、一酸化炭素は燃料の材料として使われるという。
変換効率は最大で1.5%程度と小さいし、キューティーハニーのように服まではできないが、もっと効率が上がるようになれば温暖化問題や環境問題を解決するかもしれないと夢が膨らむ。
最近は、炭素固定化や人工光合成の研究がどこまで進んでいるのか注意してみていなかったが、ちょっと調べてみるのもいいなと書きながら思った。