放蕩記

科学ライター荒舩良孝の日記

これでいいの? 日本の宇宙開発

国際宇宙ステーションISS)にいろいろなものを運ぶ無人補給機「こうのとり」の改良計画があるといいう話がいくつかの新聞に出ていた。

headlines.yahoo.co.jp

 

何でも、費用を半分ぐらいに抑えて節約型にして、2020年頃の完成を目指しているのだとか。

開発するのは結構なことかも知れないが、これでいいのかとも思う。

というのも、ISSの運用そのものが不透明な状態になっているからだ。

ISSは2020年までの運用が決まっているが、それ以降の運用についてははっきりとした方針が決まっていない。

アメリカは2024年まで運用を延長したいということを打ち出しているが、ロシアをはじめ、他の国の賛同が得られるかはまだわかっていない。

日本は2024年まで参加した方がいいという意見も出ているが、これも参加するかどうか決定したわけではない。

そのような中途半端は状況にあって、ISSへの補給船である「こうのとり」の改良計画が打ち出されるというのはどういうことだろうと思ってしまう。

もしかしたら、予算獲得のための口実なのかも知れないが、何か、日本の宇宙開発の方針が見えてこない。

仮に、「こうのとり」の改良開発の予算が下りて開発したとしても、2020年以降、日本がISSに参加しないということになったらどうするのだろうか。

参加したとしても、今のところ2024年までの運用しか決まっていない。

たった4年しか使わないものに多額のお金を使うことに、多くの人が納得できるような説明ができるのだろうか。

開発が進めば、日本の技術力は上がるかも知れないし、仮に2020年以降のISS計画に参加しなかったとしても、他の開発には役に立つのかも知れないが、50年、100先を見越して計画を立てているように見えないのが心配だ。

 

日本の宇宙開発が進んで、技術力が上がるのはいいことだと思うし、どんどんやって欲しい。

だが、しっかりと長期的な方針や、世界の中で日本はどのような地位を築くのかということをはっきりしないと、お金だけを使ってあまり成果が上がらないなんていうことになってしまう気がしているのだ。

 

宇宙開発には、夢があるし、たくさんの人たちの注目が集まりやすい。

もちろん、日本の宇宙開発に期待している人たちは多いだろう。

そのような人たちの期待に応えられるプランを練って欲しいなと思う。

f:id:arafune:20150521233756j:plain