放蕩記

科学ライター荒舩良孝の日記

たまには未来のことも

このブログでは、よく、前日に体験した話のことを話題にする。

いわば、過去の話題が多いわけだが、たまには未来の話題も出しておこう。

といっても、2日後のことだ。

5月26日に発売されるNewton 7月号に、1ページのニュース記事を書いている。

今回扱ったのはダークマターの話。

ダークマターとはこの宇宙にたくさん存在するといわれている謎の物質のことだ。

星や銀河、私たちの体をつくるふつうの物質とは違い、重さをもっていて、重力の影響を受けるということ以外、詳しい性質はほとんどわかっていない。

何しろ、私たちが見ることも、触れることもできないものなので、何もわからないのだ。

 

だが、おもしろいことに、この宇宙のどこにあるのかはわかってきた。

アインシュタイン先生が考えた相対性理論によって、重力の大きなものは光を曲げてしまう性質をもっていることがわかってきた。

そして、宇宙を観察していると、大きな重力のある天体には、より遠くからやってくる光を曲げることによって、地球からより明るく見えるという効果があることが観察されるようになった。

これが重力レンズ効果とよばれるものだ。

詳しいしくみを説明してしまうと、このブログのボリュームが半端ないものになってしまうので、ここでは、カッツ・アイ、もとい、割愛させて頂く。

重力レンズ効果というのは、銀河のような大きな重力を発生させる天体によって、遠くの天体などからやってくる光が拡大して見えるようなものだと思ってくれたらいいだろう。

 

この重力レンズ効果は、大きな天体がある場所では観測されて当然の現象だが、広い宇宙の中では天体がないのに、なぜだか重力レンズ効果が発生する場所も観測されるようになった。

この不思議な現象を引き起こしていたのが、ダークマターだった。

つまり、重力レンズ効果を頼りに観測していくと、見たことも、触れたこともないダークマターが、どこに、どれだけの量あるのかがわかってしまうのだ。

そして、さまざまな場所でダークマターの分布図がつくられるようになった。

 

いきなり話が長くなってしまったが、いよいよ本題に入れる。

7月号のNewtonで私が担当したニュースは、そのダークマターの正体につながる観測結果が得られたかもしれないという話だ。

詳しい話は記事に書いてあるので、カッツ・アイ、いや、割愛するとして、ダークマターの分布を精密に測定できるようになってきたからこその成果なのだ。

というわけで、26日発売のNewton 7月号をよろしくお願いします。

特集は「地球と生命 46億年をさかのぼる旅」ですよ。

こちらもおもしろそうです。

というか、Newton 7月号はこちらがメインです。

ついでに、私の記事も読んでくださいね。

 

Newton(ニュートン) 2015年 07 月号 [雑誌]

Newton(ニュートン) 2015年 07 月号 [雑誌]

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(写真は銀河団エイベル901/902にダークマターの分布を重ねたもの。紫色に色づけした部分にダークマターが存在するしている。 NASAより)